2020年・2月分読書会 活動報告(3)

みなさん、こんにちは、本ノ猪です。

今回は「2020年・2月分読書会 活動報告(3)」ということで、「ニシムーさん(@sn19891217)」と「幽々さん(@yuu_yuu_ziteki_ )」の読書会参加後の感想を掲載したいと思います。

 

ニシムーさんの感想↓

今回の『戦友――名もなき勇者たち』はカレン民族解放軍に身を転じた日本人傭兵の話である。
 ボクとしては以前から創作活動の資料集めの中で、軍事を題材とした資料として挙げられるものの中に筆者の別の書籍である『傭兵のお仕事』というタイトルを目にすることがよくあった。戦場という場所は日本人の若者であるボクにとって非日常な世界で、小説やエンターテインメントなどの物語に出てくるような華やかなものでは決してなく、恐怖や地獄絵図のようなものだろう。その中で筆者は戦争肯定をするのでもなく、ただひたすら現代の戦場体験を記したものであり、そのような体験を現代でするのは非常に稀なものなので、貴重な体験記だと思う。

 反戦というテーマよりもボクが興味があったのは「戦場」と「生」というポイントで、読書会でボクはドイツ文学の巨匠的な作家であるエルンスト・ユンガーの話を持ちだした。このユンガーは戦争肯定の徹底をしており、作品中で戦場の恐怖や最前線の地獄絵図を描いた上で戦争を肯定しているそうだが、安易な言い方をすれば、これは戦争という死と隣り合わせという状況にこそ、人間の精神の強さがにじみ出るというものだろうか。ボードレールの言葉には「生きるに値する人間は、詩人、僧侶、戦士の三種である」というものがあると聞いたことがあり、ある意味で一身でそれを兼ねているユンガーはボードレール的には生きるに値する人間というか美しく生きている人間ということなのだろうか。
 戦場という危険な場所だからこそ人間は生きている実感を得るのかもしれない。筆者が傭兵になった動機はわからないが、そのような非日常に対する憧れや刺激のようなものはボクとしてはわからなくもないという気持ちがある。

(本ノ猪コメント:ニシムーさん、読書会ご参加いただきありがとうございました。

 ニシムーさんは「戦争を主題に創作活動をすることの難しさ」を読書会中に話してくださいました。他の参加者も創作活動をしていたこともあり、多くのリアクションがあったように思います。また、ドイツの作家・ユンガーについての話は、課題図書『戦友』を読んでいるだけでは出てこない話題だということもあり、大変刺激的でした。

 次回の読書会もぜひご参加ください!

 

幽々さんの感想↓

こんにちは、幽々です。今回の読書会はWikipediaにも載っていないような紛争で傭兵として戦った日本人の話でした。最初はいつの時代の話かと思いましたが、読んでみると1990年代の話、著者もまだ存命というごくごく最近の話で驚きました。
当日は諸事情により疲れていた事もあり、あまり僕の方から意見を述べることは少なかったのですが、やはり話題は「日本が戦争出来る力(≒武力)を持つ事」に対してどう思うかという話題に移りました。日本はそうした力を持つべきでないという意見が大多数のまま読書会は終わりましたが、僕はどちらかと言うとそうした力を持つべきであると思っていましたし、この本を読んでその思いは強まりました。
然し推薦者のふかみんさんは逆にこの本を読んでそうした力を持つべきではない、という思いを固くしたようで、同じ本を読んでも持つ感想は全く別なのだと思い、読書の面白さが深まったような気持ちです。

(本ノ猪コメント:幽々さん、読書会ご参加いただきありがとうございました、幽々さんには(ほぼ)毎月参加してもらっており、主催者としては大変助かっております。今後ともよろしくお願いします!

 

f:id:honnoinosisi555:20200216183913j:plain

高部正樹『戦友 名もなき勇者たち』(並木書房、2008)⇒https://amzn.to/2u6NBDn

_________________________

以上で「2020年・2月分読書会 活動報告(3)」を終ります。

ご覧いただきありがとうございました。