2020年・1月分読書会 活動報告(3)

みなさん、こんにちは、本ノ猪です。

今回は「2020年・1月分読書会 活動報告(3)」ということで、「ニシムーさん(@sn19891217)」と「幽々さん(@yuu_yuu_ziteki_ )」の読書会参加後の感想を掲載したいと思います。

 

ニシムーさんの感想↓

今回の『高い城の男』は易経のことがメインに押されており、易経が日本的なものとして取り扱われているのには読書会のみんなも違和感を覚えていたようだ。
日本のイメージとしてよくあるのは禅の文化であったりするが、中国の道教の占術としてある易経を日本的なもののイメージとしてしまうのは作者の勘違いか。
道教と言えば易経の他に風水、気功、武術、漢方などの様々な技術があるが、宗教的には老荘思想を根源とするもので、万物の根源に虚無をおき、「無」から「有」が生まれたという考え方であるが、この作品のテーマと関係があるかどうかはよくわからない。読んでいて印象に残ったのはローズヴェルトが死ぬ間際にポケットに入れていたライターが骨董品だとされていたシーンである。偽物を大量複製できるような歴史情報を価値の根拠にした場合、では「ホンモノとは何か」というところがこの作品の中心的なテーマなのではないかとボクは考えました。

(本ノ猪コメント:ニシムーさん、今回は参加頂きありがとうございました。一般的に『高い城の男』の宣伝文句は、「ドイツと日本が第二次世界大戦に勝利した世界を描いたSF作品」ですが、ニシムーさんの「偽物を大量複製できるような歴史情報を価値の根拠にした場合、では「ホンモノとは何か」というところがこの作品の中心的なテーマなのではないか」という指摘には頷けるものがありました。来月もぜひご参加ください!)

 

幽々さんの感想↓

幽々です。今回の読書会は珍しく皆さんの課題図書の評価が辛口でした。
①全体を通してみても物語の発展があまりない
②視点がころころ入れ替わり、また人物の容姿についての描写も殆どなく登場人物のイメージが掴みにくい
③活かせる設定があまり活かされていない
といったのが批判的意見を纏めて見られました。ただ、この本の裏表紙には「第二次世界大戦で日本とドイツが勝った世界」という設定を前面に出したキャッチコピーが書かれているものの、ディックの本当に書きたかった事はそこではなくむしろ「偽物と本物」といったテーマではないかと思われました。そこから「出版する人間」と「書く人間」「読む人間」の受け取り方の違いについても話せました。
また、派生して「第二次世界大戦で日本とドイツが勝った世界」がどうなっているかという話題にも発展し、文化や技術、経済等あらゆる面でif世界線についての話しが出来て楽しかったです。特に、「日本が神道・仏教を世界中に広めて日本がバチカン天皇ローマ教皇のような立ち位置になるのではないか」という意見は面白かったです。
また来月にも期待しています。

(本ノ猪コメント:読書会参加者の意見を丁寧に纏めていただきありがとうございます!幽々さんのおっしゃる通り、今回は辛口なコメントが多く見られました。ただもしかすると、ディックの他の作品も読み込んでいけば、また違った魅力が発見できるのではないか、とも思っています。今回は参加いただきありがとうございました!)

 

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フィリップ・K・ディック著、浅倉久志訳『高い城の男』(早川書房1984)⇒https://amzn.to/2rDkVRj

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以上で「2020年・1月分読書会 活動報告(3)」を終ります。

ご覧いただきありがとうございました。