2019年度・2月分読書会 活動報告(3)
みなさん、こんにちは、本ノ猪です。
最近、本屋に行く際に、心掛けていることがあります。
それは、自分が日頃興味を持っている分野とは異なるジャンルのコーナー(棚)に足を運んで、一応なんでもいいから一冊本を手に取ってみることです。
私にとって「異なるジャンル」に該当するのは、音楽や美術、地図、健康本などなど……「人文学」に興味が偏っているために当てはまるものが多いです。
せっかく、様々なジャンルに触れることができる空間(本屋さん)が存在するのだから、それを活用しないのは勿体ない。
ぜひ、みなさんも心掛けてみてください!
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今回は、「2019年度・2月分読書会 活動報告(3)」ということで、本ノ猪(@honnoinosisi555)のレジュメと感想文を掲載します。
レジュメ↓
感想文↓
「前回の1月分の読書会同様、大変有意義な会となりました。
当日になるまでは「『カニバリズム論』で議論が盛り上がるだろうか……」と不安な部分もあったのですが、いざ本番をむかえると盛況でした。
『カニバリズム論』は、そこで論じられている「カニバリズム」(とそこから派生してサディズム/マゾヒズム)に関する指摘もさることながら、その周辺に位置する文学論や文化論についても、学ぶところが多くありました。特に、西洋と中国の世界観の相違を見事に指摘して見せた「インコグニタ」論には、目から鱗が落ちました。
せっかくなのでレジュメ中から、その箇所を引用したいと思います。
「ヨーロッパ文明の源泉の思想はここに在ろう。「インコグニタ」なるものを常に道の行手に据える、必死になってたどりつく、到達したことの悲哀を忘れるために、ふたたび別の「インコグニタ」なるものを前方に据える。......かくて、発見や到達の喜悦は必ず悲哀と隣あわせになる。だから、絶対に到達不能のユートピアを新たにつくるのだ。ルネサンス以後も、ヨーロッパ人はどれほど多くのユートピアを考案したことだろう。だが、中国人には、この「インコグニタ」への好奇心はない。彼らの中華思想は、あらゆる「テラ・インコグニタ」を蛮族の地とみなし、あらゆる「インコグニタ」なる事象は古の鑑に照らして選別される。彼らの学問が、なべて典拠を重んじ訓詁考証を尚ぶ傾きにあるのは、だから当然なのである。未来は現在より堕落するに決まっているし、「テラ・インコグニタ」はここ中原より劣っていることが自明な人々に、どうして桃源境以上のユートピアが発想できよう。」(P157-158)
⇒この「インコグニタ」論を現代に適用してみると面白い。ヨーロッパ諸国(その中でも「列強国」)は、まだ見ぬ土地・地域を目的の場所として設定し、辿り着くための努力を惜しまない。この姿勢が「ヨーロッパ文明の源泉の思想」であると著者は語る。種々の国・機関が人工衛星を打ち上げ、リアルタイムで世界全体の状況が分かってしまう現代においては、「インコグニタ」を設定することは非常に難しい。「ヨーロッパ文明の源泉の思想」なるものは、現在うまく機能しない状況にあると言えるだろう。
来月(三月)も、読書会を開催する予定です。ぜひ、みなさん、ご参加ください!」
(参照文献⇒カニバリズム論 (ちくま学芸文庫))
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次に、2月分読書会の参加者の一人・でででさん(@TTD_Dede)と柳太郎さん(@fushigi_usg)の感想文を掲載します。
でででさん↓
「例のごとくしっかり読めない状態での参加となってしまったため不安もありましたがとても楽しくできました。特に今回の読書会では一人で読んでいる時点では思いつきもしないような点での気づきや議論が多く、とても有意義な時間に感じることができました。これからもよろしくお願いします。」
柳太郎さん↓
「読書会で参加者の方と話すのはとても有意義で楽しい時間でしたが、今回内容がちょっと難しかったので考えを文章化するにもすこし慎重になりたいと思っています。課題図書についても、僕の中でまだ咀嚼しきれてない部分が多いので、そちらの感想は控えさせていただきます。」
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以上で「2019年度・2月分読書会 活動報告(3)」を終ります。
お読み頂きありがとうございました。