6月分読書会 活動報告(1)

みなさん、こんにちは、本ノ猪です。

もう気付けば、7月。暑い時節となりました。

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鴨川の河川敷を散歩したり、サイクリングしていたりすると、

様々な生き物が散歩する姿を目撃することがあります。

「彼らは、暑くないのかな……」と不安になるのと同時に、

「それもこれも人間のせいなのか」と猛省に襲われる自分がいます。

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先日(2018/06/30)、無事に6月分読書会を開催することができました。

課題図書の推薦及び投票、読書会への参加など、ご協力頂いた方に感謝いたします。

ありがとうございました。

一般的に6月下旬から8月末までの暑い時期は、あまり読書に向いていない時節だと言われますが、その言葉にも負けず、7月・8月と読書会は開催しますので、引き続きご協力いただけると有難いです。

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今回は「6月分読書会 活動報告(1)」ということで、

課題図書である黒川創岩場の上から』を推薦した、本ノ猪(@honnoinosisi555、拙者)のまとめプリントと感想文を掲載したいと思います。

まとめプリント↓

感想文↓

「前回の『ドグラ・マグラ』とは違った意味で考えさせられる小説を、読書会のみんなと読みたいなと思い、今回の課題図書を推薦することにしました。読書会の参加者の半数は20代であることもあり、『岩場の上から』に描かれた未来予測では議論が盛り上がりました。また、本著を文学的に評価するとどうなのか、に関する意見交換もすることができ、全体として充実した読書会になったと思います。」

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今回の活動報告は、自分のまとめプリントであるため、コメントは控えます。

見て頂いた方からコメントをもらえるとありがたいです。

それでは「6月分読書会 活動報告(1)」を終わります。

 

 

5月分読書会 活動報告(4)& 6月分読書会について

みなさん、こんにちは

本ノ猪です。

梅雨時ということもあり、京都の地は毎日雨で覆われています。

 

6月18日午前7時58分頃に発生した大阪北部地震におきましては、

多くの方から「大丈夫ですか?」と声をかけて頂き、

改めて「ツイッター」や「読書会」での繋がりが有意義なものとして機能していることを実感しました。

ただ、ツイッターにはデマを拡散してしまうというリスキーな面もありますので、注意して扱わなければならないという点もあります。

京都にいると、複数回にわたる余震を肌で感じておりますので、まだまだ油断はできない状況ではあります。地震には常に備え、対応できる状態にしておきたいです。

 

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今回は、「5月分読書会 活動報告(4)」として、

簡単に5月分読書会で、最も争点となった

「主人公とは結局のところだれなのか?」

について、議論の中で提出された3つの意見を以下に示して、活動報告を閉じたいと思います。

①「主人公=呉一郎」+「現実生活をループしている」説

②「主人公=呉一郎」+「胎内で夢をみている」説

③「主人公=呉一郎の息子」+「胎内で夢をみている」説

 

私は読み込みが甘かったこともあり、単純に①だと思っていました。

勿論①が著者の意図として正しいということもありますが、様々な解釈が生まれる『ドグラ・マグラ』は実に興味深い一冊であったと思います。

 

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次に「6月分読書会について」です。

詳細は以下のように決定しましたので、ご連絡致します。

(ご連絡が遅くなり、申訳ございませんでした。)

 

【6月分読書会】

課題図書:黒川創『岩場の上から』(新潮社、2017)

開催日時:2018/06/30(土)13:00~17:00

開催場所:京都市内某所

参加方法:直接参加及びスカイプ参加

(参加希望の方は、事前に本ノ猪(@honnoinosisi555)に連絡頂ければと思います。一度スカイプを使い、簡単な説明をさせて頂いてからの参加となりますので、ご対応のほどよろしくお願い致します。)

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是非ご参加頂ければと思います。

 

それでは、活動報告(4)及び、6月分読書会についての連絡を終わります。

失礼します。

 

5月分読書会 活動報告(3)

教養深い人と交流し、日々自分の勉強不足を嘆いています、

本ノ猪です。

以前、

「お金と時間が無いから、先生方が新しく刊行される本を読み事ができない」

ツイッター上で呟いたところ、

「図書館に注文して、読め!」

というお言葉を幾つも頂き、

「なるほど…それでいいのか」

と思いました笑

 

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どうでもいい話はここまでにして、

今回は、活動報告(3)ということで、

三人目の発表者、秋山白さん(@akiyamahaku)のレジュメ&感想文を見ていきたいと思います。

 

レジュメ↓

感想文↓

「自分の読解力の甘さを突きつけられら。できるだけ丁寧に精読してきたつもりだったがダメだった。私の考えはあくまで作中の事柄にしか向かっておらず、読書会で議論しているうちに、そこに書かれていない、意図的に伏せられている、それでもありえそうな予想をたてみんなで検証していく、小説だからこそできる、自由な解釈の推理がきでた楽しい読書会だった。」

 

秋山白さんは、テキストを分析することで、

「『ドグラ・マグラ』はどこが奇怪なのか」

について考察しています。

その結論として、

①奇異させる=混乱させるテーマ設定

②二転三転する関係

③文章としての読みにくさ

の三つを「奇怪な箇所」の代表例として挙げています。

この三つの要素には、参加者全員が惑わされており、

ドグラ・マグラ』を奇書たらしめている理由であることは間違いないと思います。

 

また、秋山白さんは、

「時間の流れ」と「人間関係」

が複雑に絡み合っている『ドグラ・マグラ』の内実を詳らかにするために、

付属資料として

「主人公を中心とした時系列」「呉家家系図

を作ってきてくださいました。

「これは便利だ!」

の一言に尽きます。

このブログを読んだ方で、これから『ドグラ・マグラ』を手に取る予定の方は、

是非、上記の秋山白特製図を活用してみてください!!!

 

以上で、活動報告(3)を終わります。

次回の活動報告(4)が、5月分の読書会活動報告ラストです、

是非読んで頂ければと思います。

それでは、また次回です。

 

 

5月分読書会 活動報告(2)

暑い日々が続いております。

常に汗まみれで過ごしております、本ノ猪です。

スムーズにブログが更新できないのが歯がゆいですが、

今回ものろのろと文章を書いていきたいと思います。

 

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今回は、活動報告(2)ということで、

二人目の発表者であった、かみかわさん(@Theopotamos)のレジュメ&感想文を見ていきたいと思います。

レジュメ↓

感想文↓

「分からないを持ち寄ってさらにわからなくなるのが読書会ですが、今回はさすがにわからなくなりすぎました。ただ皆さんも分からないようで安心しました。」

 

今回、かみかわさんは、夢野久作が作家として活躍していた大正~昭和前期の時代背景(特に『ドグラ・マグラ』が出版された1935年周辺)に焦点をあてて、

「『ドグラ・マグラ』が奇書と呼ばれる所以はどこにあるのか」

考察しており、

参加者のほとんどがテキストのみで『ドグラ・マグラ』の奇書性を考えていたよりも、更に深い考察がなされていて、大変参考になりました。

科学万能主義に翳りが見え始め、精神主義心霊主義に注目が集まっていた時代、またある平凡な村落の中でも「生まれ変わり」が当然のように信じられていた時代において、どこまで『ドグラ・マグラ』が「時代からとびぬけた」意味の奇書でありえたのか。

文学をテキストだけでなく、それが著された時代状況や読者への受容のされ方にまで視野を広げて分析することの楽しさ(そして、学術的な有意義さ)を知ることのできたレジュメであった。

歴史学を学ぶ者としては、かみかわさんの研究法をこれからも参考にしていきたいです。

 

それでは、活動報告(2)をおわります。

5月分読書会 活動報告(1)

こんにちは、本ノ猪です。

暑い日々が続いていますが、みなさん、どうお過ごしでしょうか?

京都では最近雨が多くなり、自転車生活の私には少し憂鬱な日々が続いております。

 

5月27日(日)に開催した読書会は、

無事盛況をもって終えることができました。

読書会開催にあたりまして、

課題図書の推薦、課題図書の決定(投票)、読書会への参加など、

様々な形でご協力頂いた皆様に、心から感謝いたします。

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今回は活動報告(1)ということで、

課題図書推薦者・つるばみさん(@thurubami_ramu)のレジュメと

感想文を以下に掲載します。

 

感想文↓

「推薦者のつるばみです。一人で読んだ時、どう解釈すれば良いのだろうかというただのモヤモヤが残りましたが、読書会メンバーと話しながら深めて行く中で、時代背景や、解釈の仕方など様々なことを知れて良かったです。
また、皆と一体感をもって、こんな奇書に対して楽しいと思えたあの空間にいれて嬉しかったです!」

 

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つるばみさんは、課題図書の推薦者として、5月分読書会をまとめてくれました。

本当に感謝しています。

つるばみさんの『ドグラ・マグラ』を通しての関心・疑問点は、

上記のレジュメに示されている通りですが、

それはほんの一部で、

参加者のほとんどが考えも及ばなかった点に注目して、

とても興味深い解釈を展開していました。

その中でも特に興味深かった点に

「主人公は結局何者なのか?」

という問いがありましたが、

これへの幾つかの解釈については、

最後に回を改めて(別日のブログ内で)、発表したいと思います。

 

今回は、つるばみさんの解釈で、大変面白かった

「ブ―ン」論(勝手に命名

を見ていきます。

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私は寝台の上に長々と仰臥したまま、死人のように息を詰めていた。眼ばかりを大きく見開いて…………………………………。
 ……ブ…………ンンンンン……
 という時計の音が、廊下の行き当りから聞えて来た。
 隣室となりの泣声がピッタリと止んだ。それにつれて又一つ……
 ……ブ――――ン……
 という音が聞えて来た。前よりもこころもち長いような……私は一層大きく眼を見開いた。
 ……ブ――――ン……
 ……という音につれて私の眼の前に、正木博士の骸骨みたような顔が、生汗なまあせをポタポタと滴たらしながら鼻眼鏡をかけて出て来た……と思うと、目礼をするように眼を伏せて、力なくニッと笑いつつ消え失せた。
 ……ブ――――ン……
 夥しい髪毛かみのけを振り乱しつつ、下唇を血だらけにした千世子の苦悶の表情が、ツイ鼻の先に現われたが、細紐で首を締め上げられたまま、血走った眼を一パイに見開いて、私の顔をよくよく見定めると、一所懸命で何か云おうとして唇をわななかす間もなく、悲し気に眼を閉じて涙をハラハラと流した。下唇をギリギリと噛んだまま見る見るうちに青褪あおざめて行くうちに、白い眼をすこしばかり見開いたと思うと、ガックリとあおむいた。
 ……ブ――――ン……
 少女浅田シノのグザグザになった後頭部が、黒い液体をドクドクと吐き出しながらうつむいて……。
 ……ブ――――ン……
 八代子の血まみれになった顔が、眼を引き釣らして……。
 ……ブ――ンブ――ンブ――ンブ――ンブ――ン……
 頬を破られたイガ栗頭が……眉間を砕かれたお垂髪さげの娘が……前額部の皮を引き剥がれた鬚ひげだらけの顔が……。
 私は両手で顔を蔽おおうた。そのまま寝台から飛び降りた。……一直線に駆け出した。
 すると私の前額部が、何かしら固いものに衝突ぶっつかって眼の前がパッと明るくなった。……と思うと又忽たちまち真暗になった。
 その瞬間に私とソックリの顔が、頭髪かみのけと鬚を蓬々ぼうぼうとさして凹くぼんだ瞳めをギラギラと輝やかしながら眼の前の暗やみの中に浮き出した。そうして私と顔を合わせると、忽たちまち朱あかい大きな口を開いて、カラカラと笑った……が……
「……アッ……呉青秀……」
 と私が叫ぶ間もなく、掻き消すように見えなくなってしまった。
 ……ブウウウ…………ンン…………ンンン…………。

        (夢野久作ドグラ・マグラ(下)』平成24年、71版、P375-377)

 

つるばみさんは、上記の引用箇所の「ブーン」に注目して、

「「ブーン」は時計の鐘の音で、合わせて12回鳴っている。

 だからこれは「12時(24時)」を指している」

と解釈した。

そして、次に『ドグラ・マグラ(上)』の地の文の冒頭に注目して、

…………ブウウ――――――ンンン――――――ンンンン………………。
 私がウスウスと眼を覚ました時、こうした蜜蜂みつばちの唸うなるような音は、まだ、その弾力の深い余韻を、私の耳の穴の中にハッキリと引き残していた。

           (夢野久作ドグラ・マグラ(上)』平成24年、80版、P5)

 

「この「ブーン」は、下巻の最後の「ブーン」の続きで、

 この引用文の直後に「それをジッと聞いているうちに……今は真夜中だな……と直覚した。」という文章があることが、それを証明している。

 ということは時系列を考えると、

 下巻→上巻と考えられる(または、下→上→下…とループしている)。

と自論を展開した。

 

この解釈は、他の参加者には誰一人として考えている人はおらず、

大変興味深い指摘だったように思います。

何といっても、この上下巻の大著を前にして、

「ブーン」の数を数えているつるばみさんの読解には、

度肝を抜かれました。

みなさんはどうでしたでしょうか?

数えるのが当然なんでしょうか?

ご意見をお聞かせください笑

 

それでは以上で、活動報告(1)を終わります。

お読みいただき、ありがとうございました。

失礼いたします。

 

 

5月分読書会について

みなさん、こんにちは

本ノ猪です。

GWもあっという間に過ぎ去り、

日頃から観光客の多い京都ですが、少し街が落ち着きを取り戻しつつあります。

 

連絡が遅くなりましたが、

今回は「5月分読書会」の諸情報についてお知らせいたします。

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課題図書:夢野久作ドグラ・マグラ(上・下巻、角川書店、1976年)

開催日時:2018年5月27日(日)、13時~17時

開催場所:京都市内某所

参加方法:直接参加またはSkype参加

参加条件:事前連絡必須(参加募集締め切りは5月20日まで、それまでに参加有無の表示がない場合は参加無しと判断)

 

以上が主な読書会情報となります。

今回は、上下巻分の量がある小説なので、若干読むのが大変な部分もありますが、一人でも多くの参加者と意見を交換したいと考えています。

それではよろしくお願いします。

失礼します。

4月分読書会 活動報告(4)

こんにちは

本ノ猪です

いかがお過ごしでしょうか?

世間ではGWという期間に入っているようですが…

私にはあまり関係がないようです。

いつも通り、人と話したり、ご飯を作ったり、本を読んだり、

だらだらと日々を過ごしております。

 

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今回はレジュメ&感想談のラストということで、

ゆずとそでさんのものを紹介したいと思います。

 

感想談↓

「今回の課題本はライトノベルだった。『狼と香辛料』の第1巻だ。僕は、この課題本における主要登場人物の1人であるロレンスと、ホロやその他の登場人物との間の関係に、生きるにあたっての精神的な原理を認め、それを「人恋しさ」だと主張した。そして、この精神的な原理に貫かれた関係を友情と恋に分類した。また、生存本能や自身の経済的な利益を優先するなどに代表される行動原理を生きるにあたっての物理的な行動原理と規定し、こちらの原理により形成される商人と客の関係や商人同士の出し抜くか出し抜かれるかの競争関係がデフォルトな関係であるという前提に立った。最後に、生きる精神的な原理が生きる物理的な原理に優先される所で、前者に貫かれていた関係は愛という奇跡的な関係に発展していくのではないかと主張した。
 今回、「物理的/精神的」という比喩を用いたが、これには理由がある。きっとにしたつくんさんならば貨幣の動きの話を中心に発表内容を組み立ててくると山を張っていたのだ。だから、ある意味で、僕の発表はにしたつくんさんとの共同して練られていったと言える。果たして、にしたつくんさんの発表は本課題本の物語を動かす貨幣の改鋳に関わる取引の仕組みについての解説であった。こういうことができるのが、本読書会の楽しみだと思う。
 ところで、今回の読書会では、どこまで正確な定義や理論にこだわるかという点について考えさせられた。例えば、ライトノベルが課題本である今回、ジャンルとしての「ライトノベル」を定義することは必要であるか否かについてどう考えたらよかっただろうか。僕は、今回は特に定義は必要で無かったと反省しつつ考える。実は、今回のある時点の会話において、僕がジャンルとしての「ライトノベル」の定義を語ろうとして話が行き詰まってしまった場面があったのだ。
 この、言い換えれば学的な正確さからどのように距離を取るかという問題は、これから本読書会へ参加し続けるに当たって、なるべく学的な正確さにこだわっていきたいと思う自分にとっては常に念頭に置いておかなければいけない課題だろう。」

 

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今回、ゆずとそでさんは、『狼と香辛料』の二人の主人公、

ロレンス&ホロの関係性について、

そこにある、ある種の友情や、恋愛感情について、

会話文やロレンスの視線や気持ちを示している文章を引用して、

分析を進めていました。

 

ゆずとそでさんの感想談を見ると、

そこには本読書会の方針や姿勢を考える上で、

大変重要な2点が示されていると言えます。

それはまとめると、

①他の参加者のレジュメ内容を予想して、自分のレジュメ内容を考える

②学的な正確さからの距離

の2つです。

まず、①についてですが、読書会への参加回数が増してくると、他の参加者がどういう点に強く関心があり、どのような観点で本を読み解いてくるかが分かってくるようになります。「あの人はこういう風にレジュメをまとめるだろうから、自分は…」というのはなかなか高度な作業であることは間違いないですが、毎回本を通じて深まっていく人間関係の一つの結実として考えてもいいと思います。

次に②にですが、これはなかなか難しい問題です。この読書会での議論は、一冊の本を読んできている前提で進められます。よって、そこで話し合われる内容には、一定の正確さがあるとは思いますが、一方で個々の参加者の解釈に敬意を払うという姿勢も大切なものです。あまりに、「学的な正確さ」に拘りすぎると、時にある人の意見や解釈を否定することに繫がりかねません。これは塩梅が難しい問題であります。個々の現場現場で対応していくことが重要であり、何よりも参加者同士の関係性をよりよいものに磨き続けていくことしか、暫定的な解決法はないと思います。この点は、いろいろな人に考えていただきたいです!

 

以上、長くなりましたが、

活動報告(4)を終わります。

それでは、失礼します。