2019年度・8月分読書会 活動報告(1)

みなさん、こんにちは、本ノ猪です。

8月25日(日)の13時30分から16時30分までの3時間、

8月分の読書会を開催しました。

課題図書は、


柴田勝家『ヒト夜の永い夢』ハヤカワ文庫JA、2019⇒https://amzn.to/2yIqWMA)。

 

主人公の南方熊楠を筆頭に、個性的な登場人物がイキイキと描かれている小説でした。また、「天皇とはどのような存在か」「人工知能をどう評価するか」など、現代にも通じる問題提起が数多く散りばめられており、物語を楽しみながら「思考」することができます。大変お薦めの一冊です!

 

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柴田勝家『ヒト夜の永い夢』(ハヤカワ文庫JA、2019)⇒https://amzn.to/2yIqWMA
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今回は「2019年度・8月分読書会 活動報告(1)」ということで、拙者・本ノ猪(@honnoinosisi555)のレジュメを掲載したいと思います。今回いつもより気合を入れてレジュメを作成しました。ぜひご覧ください(*_*)

 

レジュメ↓


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 私は今回レジュメを作成するにあたって、『ヒト夜の永い夢』の登場人物時代思潮に関する本を読み漁った。「登場人物」については、主人公である南方熊楠、物語のキーパーソンとなる福来友吉、主人公とともに活躍する江戸川乱歩を中心に本を手に取り、「時代思潮」については、大正から昭和前期にかけて流行していた「心霊主義」「スピリチュアリズム」に関する書籍に目を通した。

 私が以上の作業を通して確認したかったことは、『ヒト夜の永い夢』がどのくらいの割合で「史実」に忠実であり、どのようなタイミング、パターンで「フィクション」を織り込んでいるのか、ということであった。これらの疑問は、文献読書とレジュメ作成の過程で解かれていくことになる。
導かれた答えは、次のようなシンプルなものであった。

「前提として「史実」には忠実。史料では明らかにできない「過去」に物語を注入する」

 私は学部時代から、『ヒト夜の永い夢』の舞台となっている大正時代から昭和前期を研究対象として、学問に勤しんできた。そのため、読書中何度か「このエピソードは書簡か何かに書かれているのだろうか」や「このエピソードはあの小説から取ったのだろうか」と頭を巡らせた。そうして実際に「史料」にあたってみると、そこにきちんと「エピソード」が記録されているのである。「やるなー、柴田さん」と唸る自分がいた。

 『ヒト夜の永い夢』を「所詮、小説でしょー」と言って侮るのは勿体ない。日頃小説を読まない人にこそ、むしろ強く薦めたい一冊でもある。

 レジュメ中に、読書するにあたって補助となる略年譜や年表を纏めておりますので、ぜひ手に取る際に参考にしてみてください。

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以上で「2019年度・8月分読書会 活動報告(1)」を終ります。

ご覧頂きありがとうございました。