2019年度・9月分読書会 活動報告(1)

みなさん、こんにちは、本ノ猪です。

9月29日(日)の14時00分から18時00分までの4時間、

9月分の読書会を開催しました。

課題図書は、


姜敬愛著、大村益夫訳『人間問題』(平凡社、2006)⇒https://amzn.to/2mgy0xe

 

本書は、大日本帝国の統治下にあった朝鮮において、過酷な労働環境・苦しい生活を強いられていた、地方の農民、都市労働者の状況を、「文学作品」の形にして問題提起する一冊となっていました。北朝鮮と韓国で評価に違いはあるものの、「近代朝鮮文学」の代表作とされる文学作品に触れることができたのは、大変貴重な機会になったと思います。一人でも多くの人に、手に取って頂きたい一冊です。

 

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姜敬愛著、大村益夫訳『人間問題』(平凡社、2006)⇒https://amzn.to/2mgy0xe

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今回は「2019年度・9月分読書会 活動報告(1)」ということで、今回の課題図書・『人間問題』を推薦してくださった、炭山さん(@kingtyrano)のレジュメと感想文を掲載したいと思います。

 

レジュメ↓

 

感想文↓

 「韓国人として韓国の近代文学を日本の皆さんに紹介するという、甚だ責任を感じる読書会でしたが、却って自分のほうがいろいろ勉強させていただきました。 最近韓国の若手作家の作品が日本でも人気だと聴いていますが、「人間問題」のような古典にもこれから触れていただける方が増えることを願ってやみません。 猪さんも読書会で話していますが、植民地朝鮮という一つの世界を垣間見るにはこの本がうってつけの鍵になると思います。まだ読んでいない方はぜひ目を通してみてください。

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今回の炭山さんのレジュメと、それを用いた発表からは、多くの学びを得ることができました。

炭山さんは読書会参加者の中で唯一、原文で『人間問題』を読んでいることもあり、日本語翻訳本からは掴むことが出来ない要素を幾つも指摘してくださいました。
例えば、

 

●登場人物の名前の付け方について⇒主人公の名前である「チョッチェ」という言葉は、一般的に「長男」という意味で使われる。登場人物の一人である「カンナン」は、「赤ちゃん」という意味の言葉として使われることが多い。富裕層及びエリート層の名前には姓名があり、漢字表記が想定される、など。(炭山さんの読書会中のコメントより)

 

以上の指摘は、ただ日本語訳の『人間問題』を読むだけでは、決して気付くことができない部分です。ここからは、姜敬愛が登場人物の名前に込めた「意図」のようなものを掴むことができます。大変興味深いです。

 

その他にもレジュメ内では、『人間問題』の「あらすじ」や執筆時の「時代背景」なども解説されています。ぜひご覧ください。

 

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以上で「2019年度・9月分読書会 活動報告(1)」を終ります。

ご覧いただきありがとうございました。