2019年度・6月分読書会 活動報告(1)

みなさん、こんにちは、本ノ猪です。

6月30日(日)の14時から18時までの4時間、

6月分の読書会を開催しました。

課題図書は、

アガサ・クリスティ『春にして君を離れ』早川書房、2004⇒https://amzn.to/2YVG847)。

「ミステリーの女王」として世界的な人気を誇るアガサが、

あえて「メアリ・ウェストマコット」という別名義で発表した作品です。

読書会参加者は、自分自身の性格・人生と、物語の登場人物である「ジョーン」や「ロドニー」のそれと重ねながら、本書と向き合っていました。

今回もとても有意義な読書会になったと思います。

 

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今回は「2019年度・6月分読書会 活動報告(1)」ということで、

今月の課題図書(『春にして君を離れ』)の推薦者である「つるばみさん(@thurubami_ramu)」のレジュメと感想文を掲載します。

 

レジュメ↓

 

感想文↓

 「ふざけを極限にまで抑えまじめにレジュメを書きました。
その甲斐あってそれなりに充実した読書会になったんじゃないかなぁと愚考いたします。
なんでもいいので感想ください。待ってます。」

 

 

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課題図書:アガサ・クリスティ『春にして君を離れ』(早川書房、2004)⇒https://amzn.to/2YVG847
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今回のつるばみさんのレジュメは、計10枚にもわたる「大作」です。

内容としては、

作品概要

著者概要

著者成育歴

登場人物関係図

重要人物紹介

本文要約

作品総評

作品考察

という構成になっており、『春にして君を離れ』の全体像から細部に至るまで、詳しい説明が施されています。どの項目も読みごたえがありますので、ぜひ実際にレジュメを読んでみてください!

 本記事では、つるばみレジュメの中から「作品総評」の部分を、以下に引用してみたい。


「この本(筆者註:『春にして君を離れ』)は、ロマンチック・サスペンスというジャンルではあるが、読み手の自己欺瞞を暴くミステリーという考え方もできる。
 巻末の栗本氏を否定したいわけではないが、この本を読んで「ジョーンのようになりたくない」と思ってしまったら、それは 1 章でブランチのことを可哀想だと思っていたジョーンと全く同じこと、つまりは他人を憐れむという自己欺瞞に晒されているといえるだろう。同じ穴の狢なのだ。 また、ジョーン以外の登場人物、例えばロドニーやエイヴラルに感情移入する人もいるだろう。しかし考えてほしい、彼らの作中の描写は「幸福」といえる状態だっただろうか?
 「ジョーンのように他人に迷惑をかけるよりは、幸福を捨てた方がマシだ」という人もいるかもしれない。しかしそれならば、「幸福より義務を重んじるべき」と考えていたジョーンと何が違うのだろうか? 結局のところ、多くの人間は他人と自分を比較し無意識的に憐れんでしまう側面がある。そのことを分かりやすく描き、明確な被害者というものが存在せず、限りなく現実的な描写で読み手に伝えられている価値のある作品と言える。 」

 

 私たちは「ある物語」に触れるとき、その中の登場人物の考え方や行動に、共感を覚えたり反感を覚えたりすることは少なくない。「この登場人物は私と似ている」「私はこの主人公みたいにはなりたくない」といった形で。

 今回つるばみさんは、上記に示した作品総評の中で、人間には自分と他人を比較して、ときに共感を覚えたり優越感に浸ったりする側面があることを指摘した上で、それを的確に物語化できているのが『春にして君を離れ』なのだと説明している。

 

 「読み手の自己欺瞞を暴くミステリー」。

  言い得て妙である。

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以上で「2019年度・6月分読書会 活動報告(1)」を終ります。
ご覧いただきありがとうございました。