11月分読書会 活動報告(2)

寒い日が続いています。

毛布にくるまりながらブログ書いてます、本ノ猪です。

突然ですが、「本ノ猪」という名前、どのように“読んで”いるでしょうか。

最近、Twitter上でツイートを拝見しているある方から、

「ずっと、“ほんのい”と読んでました。すみません」

という言葉をかけられた。

特に正しい読みというのは存在しませんが、

一応自分では「ほんのいのしし」と読んでいる。

Twitterで知り合い、実際に会ってよく話す仲間からは、

「いのししさん」や「いのしし」と呼ばれている。

まったく違和感はない。

みなさんも、「いのししさん」と呼んでください( ´∀` )

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今回は「11月分読書会 活動報告(2)」ということで、

 そでさん(@nanamaru_8810)のレジュメと感想文を、以下に掲載します。

 

レジュメ↓

 感想文↓

「小説『異邦人』は、多様な解釈を許容しうる作品であると思います。今回の読者会では殊更に、各参加者は、各様の仕方でこの作品を経験したことと思います。
 僕は、三野博司『カミュ『異邦人』を読む ── その謎と魅力 ──』彩流社、2002年(以下、「三野(2002)」と略記)を主な支えとしつつ読みました。その中で、本作品を舞台であるアルジェリアに注目し、実質フランスの植民地であった期間があるという実際の歴史を踏まえて評価しようとする試みが紹介されており(大変申し訳ありません。本を図書館に返却してしまい該当箇所を挙げることができません)、感銘を受けました。テクストを通してある対象へと近づいていくという行為が存在することが、腑に落ちたからです。
 この感銘は読書会での議論を通じてより強まりました。そのような行為を自分でも行ったり行わなかったりできるようになることを目標にして、これからも励んでいきます。

 ところで、今回自覚できたことがもう一つあります。自分のものの見方についてです。
僕は、秋山さんのレジュメのように作者であるカミュの意図に着目することには考えが及びませんでした。そのような見方より、作品自体の構造の把握の方が優先的に考えに上ってきます。どうやら、僕のものの見方は、作者の意図と作品自体とを切り離し、後者を主、前者を従として捉えがちなようです。
 この自覚は、今回上記のような感銘を受け、読書会での議論を通じてそれが更に強まった理由を説明してくれます。その説明は次のようになるでしょう。僕のものの見方は、作品を取り囲む外部へ視線を向けない傾向があり、今までそのことに無自覚でありました。ところが、今回三野(2002)の該当箇所、秋山さんのレジュメ等を読んだり聴いたりしたこと、またそれらを素材として議論したことによって、それは言わば場にそぐわないものとして、僕の視界に浮かび上がってきたのでしょう。
 僕が採りがちなものの見方は、実在する事柄を見落としがちなものの見方であると言えます。今回、僕は自身のものの見方に危機感を覚えました。そのような行為を自分でも行ったり行わなかったりできるようになることを目標に据えたのはこの危機感からです。少しばかり飛躍を交えて説明すると、僕の部屋が散らっているのも、日々を計画的に過ごすことができなくてひもじい思いをしたことがあるのも、自身がこのようなものの見方に偏りがちになってしまっていることに根差しているように思われます。一言で言えば、読書をすることと生活することが乖離してしまっているのです。
 今はまだ飢えずに済んでいますが、このままでは、そう遠くない未来に、僕は死刑を申し渡されて、この生活からおさらばすることになるでしょう。それを食い止める眼を身に着けなければなりません。

 最後に、レジュメでは伝えきれなかったことも含めて、レジュメで考えたかったことについて少しだけ書いて感想を閉じることにします。
 このレジュメで考えたかったのは、『異邦人』という小説が、 ➀ 1つのとある「事件」についての複数の解釈が闘争する様を描いていること。 ②(1) この闘争を描いている視点自体がこの「事件」についての解釈を提示していること。 ②(2)視点とは誰の視点なのか?カミュか、ムルソーか、それ以外の登場事物か、もしくはそれらの混合か。 ③ とはいえ、➀や②のように考えていくと、この小説を読む私たち自身の視点もまた「事件」を「神話」として解釈し、自身の「世界観」を説明しようとするものとして例外ではないこと。つまり、視点は小説の内にも外にも複数存在すること。言いかえれば、各自がそのような「特権」を持っていること、このことを、小説『異邦人』は読者に対して示してくれるような構造を持っているように僕は考えています。③が特に強調したかった部分です。」

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自分があえて付け加えることはありません。是非、上記のレジュメと感想文をご覧ください(特に「不条理」と「神話」に関する記述は、カミュ『異邦人』の読書会というフィールドを離れても大変有意義です)。

*そでさんが参考にしたカミュ・『異邦人』関連書籍↓

カミュ『異邦人』を読む: その謎と魅力

新版 アフリカを知る事典

カミュを読む: 評伝と全作品

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以上、「11月分読書会 活動報告(2)」を終ります。

ご覧頂きありがとうございました。